1. 電気用品安全法(PSEマーク)

電気用品安全法とは、電気用品の製造、輸入、販売などを規制し、火災や感電といった危険の発生を未然に防止することを目的とした日本の法律です。

国の定めた厳格な技術基準に適合した製品には「PSEマーク」(Product Safety Electrical Appliance & Materials)が表示されます。特に危険度が高い特定電気用品(ACアダプターや電源コードなど)には菱形のPSEマークが、それ以外の一般的な家電製品には丸形のPSEマークが義務付けられています。PSEマークのない製品は国内での販売が禁止されており、近年急速に普及したモバイルバッテリーなどの安全確保にも大きく寄与しています。

2. 赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)

「赤ちゃんポスト」とは、孤立出産や経済的困窮など様々な事情から親が養育できない生まれたばかりの新生児を、匿名で安全に預け入れることができる民間施設の通称です。日本では2007年、熊本市の慈恵病院が「こうのとりのゆりかご」として初めて開設しました。

赤ちゃんの遺棄死や命の危険を防ぐ「最後のセーフティネット」としての高い人道的意義が認められる一方で、親の養育放棄(ネグレクト)を助長するのではないかという懸念や、子どもが自己の出自を知る権利(出自を知る権利)の保障を巡る法的・倫理的課題について、今なお多角的な議論が続けられています。

3. 急性Wii炎(ゲーム機器と反復運動損傷)

急性Wii炎(Wiiitis)とは、体感型の家庭用ゲーム機(任天堂のWiiなど)で、コントローラーを激しく振ったり長時間のプレイを繰り返すことによって、肩、肘、手首などの腱や筋肉に急性炎症(腱鞘炎や筋肉痛)を引き起こす症状を指す医療的・社会的な造語です。

高名な医学雑誌にも症例報告が掲載され、室内での手軽なエンターテインメントであっても、適切な休憩を挟まない過度な反復動作は身体的障害をもたらすという教訓として注目されました。現代におけるeスポーツ選手の腱鞘炎や、スマートフォン腱鞘炎(スマホ指)など、デジタル機器の長時間使用に伴う健康問題の先駆的事例と言えます。

4. 原告適格(げんこくてきかく)

原告適格とは、裁判所に対して行政訴訟などを提起する際に、特定の原告(訴えを起こした者)がその判決を求める実質的な法的利益を有しているか否かという「訴訟要件」の資格のことです。

行政処分によって直接の不利益を受けた名宛人だけでなく、その処分によって生命、身体、財産などの重大な権利利益を侵害される恐れのある周辺住民にも原告適格が認められるべきかどうかが、原子力発電所の設置許可取消訴訟や空港建設、景観保護などを巡る数多くの裁判で争点となってきました。判例と法改正を通じて原告適格の解釈は段階的に拡大傾向にあります。

5. ジェネリック医薬品(後発医薬品)

ジェネリック医薬品(Generic Drugs: 後発医薬品)とは、新薬(先発医薬品)の特許期間(約20〜25年)が満了した後に、他の製薬会社が同じ有効成分を用いて製造・販売する医薬品のことです。

新薬の開発には数百億円規模の膨大な研究開発費と長い年月を要しますが、ジェネリック医薬品は開発費を大幅に抑えられるため、先発薬の約3割〜5割という低価格で提供されます。有効成分や効能、安全性は国の承認審査で同等と確認されており、少子高齢化に伴って膨らみ続ける国民皆保険の医療費抑制と、患者自身の窓口負担軽減の両立に向けた切り札として普及が推進されています。

6. タリウム中毒(化学物質管理と規制)

タリウム(Thallium)とは、重金属の一種であり、その化合物(硫酸タリウムなど)は無味無臭で強力な毒性を持つため、かつては殺鼠剤などに使用されていましたが、現在は毒物及び劇物取締法により「劇物」に指定され厳格に管理されています。

タリウムを悪用した殺人未遂事件や中毒事件が社会に大きな衝撃を与えたことを契機に、学校の研究室や民間企業における劇物・毒物の購入履歴、在庫管理、保管庫の施錠義務など、化学物質の厳格なトレーサビリティの重要性が再認識されました。

7. 認可保育所(にんかほいくしょ)

認可保育所とは、児童福祉法に定められた施設の広さ、保育士の配置基準、調理設備などの厳格な国家基準を満たし、都道府県知事などから正式な認可を受けて運営される保育施設のことです。

公費による補助が手厚いため利用料が比較的安価に設定されており、共働き世帯からの入所希望が殺到した結果、都市部を中心に「待機児童問題」が深刻化しました。近年は企業主導型保育事業の拡充や小規模保育の推進により受入れ枠が拡大し、待機児童数は大幅に減少したものの、保育士の処遇改善や保育の質の確保が依然として重要課題です。

8. 日本年金機構(旧社会保険庁からの再編)

日本年金機構とは、かつて年金記録の杜撰な管理や不正免除問題で国民の激しい不信を招いた「社会保険庁」を完全に廃止・解体し、公的年金に係る一連の運営業務(保険料の徴収、記録管理、年金給付審査など)を担う非公務員型の特殊法人として2010年に発足した組織です。

厚生労働大臣の監督のもと、業務の効率化と民間的なマネジメント手法の導入が進められ、マイナンバーを活用した正確な記録管理や、オンラインでの年金確認システム(ねんきんネット)の普及など、信頼回復に向けた業務改革を継続しています。

9. 年次有給休暇(年休の取得義務化)

年次有給休暇とは、労働基準法第39条に基づき、一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される、賃金が支払われる有給の休暇です。

日本企業の労働者は欧米諸国と比べて有給取得率が低く、過労死やメンタル不調が社会問題化していました。これを改善するため、2019年4月に施行された「働き方改革関連法」により、年10日以上の有給休暇が付与されるすべての労働者に対し、会社側が毎年5日について時季を指定して確実に取得させることが法的に義務付けられました(違反企業には罰則規定あり)。

10. ノロウイルス(感染症と衛生管理)

ノロウイルスとは、冬季を中心に多発する感染性胃腸炎の主要な原因ウイルスです。極めて少量のウイルス(数個〜数十個)が体内に入るだけで激しい嘔吐、下痢、腹痛、発熱を引き起こす非常に強い感染力を持ちます。

二枚貝の生食や、感染した調理従事者を介した食品汚染、感染者の吐瀉物からの二次感染によって病院や高齢者施設、学校などで集団感染を引き起こします。アルコール消毒が効きにくく次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が必要であるなど、食品衛生法やHACCP(ハサップ)に沿った徹底的な衛生管理基準が広く確立される契機となりました。